愛知大学記念館(愛知大学東亜同文書院大学記念センター)

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活動報告

【9/9・10開催】国際ワークショップ「近代中国社会と日中関係」

 愛知大学東亜同文書院大学記念センター・愛知大学国際問題研究所・中国社会科学院近代史研究所共催による国際ワークショップ「近代中国社会と日中関係」を、2016年9月9ー10日、愛知大学名古屋キャンパス(W31・32教室)で開催しました。
 このワークショップは、中国社会科学院近代史研究所の研究者と、愛知大学の近代中国史研究の研究者が協力して、近代中国史研究の研究組織(プラットホーム)を作り、各自の専門領域を踏まえながら「近代中国社会と日中関係」について議論することを目的としたものです。
 
 開会に際して、馬場毅(愛知大学名誉教授)、趙曉陽(中国社会科学院近代史研究所社会史研究室主任兼研究員)が挨拶しました。
 
第1セクション「東亜同文書院と日中関係」では、高木秀和報告が、中国における海産物供給構造の変容における日中関係について、野口武報告が東亜同文書院の1期生、2期生の日露戦争時及び以後の中国での就業履歴について、石田卓生報告(配付資料)が、東亜同文書院の中国語教育の特色を、日本の欧米言語教育と対比しつつ分析しました。また佃隆一郎報告が、戦後、愛知大学が創設された時期における東亜同文書院大学の位置づけを分析しました。
第2セクション「中国近代社会と社会史」では、羅検秋報告が清初から清末までの漢学家が農村統治にあたって宗族をどう位置づけたかの言説について、唐仕春報告が、明清時代に於いて同郷の京師官僚の出した印結(身元保証書)が官僚組織の運営で果たした役割について、王康報告が、清代下層社会で多く見られた「嫁賣生妻」を婚姻関係との関連について分析しました。また李長莉報告が、小室信介が中仏(清仏)戦争中訪中し、その後、「中国崇拝」から「中国蔑視」へ転換した理由について、李俊領報告が、清末、預備立憲改革以後、礼学館の設立からその撤廃までの経過を分析しました。さらに趙曉陽報告が、二ュージーランドの中国人労働者へのキリスト教の布教の経過と、その故郷広東省へのキリスト教の布教の経過について、呂文浩報告が、社会学者陳達が1947年に発表した中国人口サンプル抽出調査計画の意義について分析しました。
第3セクション「民国以後の中国社会と日中関係」では、広中一成報告が、水野梅曉旧蔵写真資料を通して、1920年代日中仏教徒の交流を、武井義和報告が、1920年代上海における朝鮮人社会の形成と租界の法的構造との関係について、森久男報告が、平綏路東段抗戦(チャハル作戦)を主要な考察対象として、日中戦争初期における蒋介石の作戦指導の特質を分析しました。また馬場毅報告が、法幣、連銀券、儲備券と対比しながら、山東抗日根拠地における山東銀行幣を中心とした通貨政策について、三好章報告が、清朝の冊封体制、近代の国民国家成立という歴史的視点から、中国の国際関係を分析しました。
 閉会に際して、三好章(東亜同文書院大学記念センター長・現代中国学部教授)、李長莉(中国社会科学院近代史研究所社会史中心主任兼研究員)が挨拶しました。
 
 各セクションごとに討論が活発に行われ、とりわけ第2セクションの総合討論は予定の50分間を大幅に超過する1時間半にわたるものとなりました。
 また、閉会後10日午後、中国側の参加者は愛知大学東亜同文書院大学記念センターを視察しました。
 このワークショップは、2017年は中国で開催する予定です。
 
 中国社会科学院近代史研究所ホームページでも本活動が下記のように紹介されました。
 近代中国与中日関係”国際学術研討会在日本愛知大学円満挙行
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