愛知大学記念館(愛知大学東亜同文書院大学記念センター)

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活動報告

国際シンポジウム「東亜同文書院卒業生たちの軌跡を追う」を開催しました

 国際シンポジウム「東亜同文書院卒業生たちの軌跡を追う」を、2017年1月21日(土)午後、愛知大学豊橋キャンパス(本館5階第3・4会議室)で催しました。近在の方だけではなく関東や関西といった遠方からや、川井伸一学長、冨増和彦副学長をはじめとする学校関係者など学内外80人あまりの参加者があり盛会となりました。
 このシンポジウムは、文部科学省私立大学戦略的基盤形成支援事業「東亜同文書院を軸とした近代日中関係史の新たな構築」による5年間の活動の最後を飾るもので、また愛知大学創立70周年記念事業の一環として、一般財団法人霞山会の後援もえて開催いたしました。
 弊センターが文部科学省私立大学戦略的基盤形成支援事業「東亜同文書院を軸とした近代日中関係史の新たな構築」によって進めてまいりました①近代的関係史の再検討、②大旅行調査からみる近代中国像、③書院の教育と中国研究システム、④書院から愛知大学への接合性という多方面における教育研究活動を踏まえつつ、今回のシンポジウムでは東亜同文書院卒業生たちの軌跡を明らかにすることにより、ビジネススクールとしての東亜同文書院の教育の成果を検証いたしました。
1.カナダ・レジャイナ大学のポール=シンクレア氏は、「東亜同文書院による世界初のビジネス言語教育と現代アメリカのビジネス言語教育」というテーマで発表し、書院が作成した中国語テキスト『華語萃編』は、教養主義をベースとしながらも、中国でのビジネス展開に必要な場面展開に応じた多様な内容であり、それを現代アメリカのビジネス言語教育との比較を行うという斬新な視点から報告を行いました。
2.愛知大学東亜同文書院大学記念センター研究員石田卓生の「日清貿易研究所、東亜同文書院の教育と卒業生の事例的研究」は、高橋正二(研究所卒)、坂本義孝(書院1期)、大内隆雄(書院25期)の卒業後の中国だけでなくアメリカ、ヨーロッパにまたがる多様な活動を綿密な調査によって明らかにしつつ、彼らには良好な日中関係を希求する意識が通底しており、それが東亜同文書院での教育の影響であると報告しました。(配付資料
3.台湾中央研究院台湾史研究所許雪姫女史「論東亜同文書院台湾学生的人数:兼論陳新座、彭盛木、王庸緒三人不同的際遇」は、卒業後の3人は日本、国民党、共産党の3つの勢力が争う複雑な状況の中で、ある者は親日系、ある者は国民党系、ある者は共産党系の軌跡をたどったことを明らかにした。
4.東亜同文書院大学記念センターフェロー藤田佳久(愛知大学名誉教授・元センター長)「東亜同文書院・同大学卒業生の軌跡と戦後日本の経済発展」は、戦後引揚げてきた東亜同文書院卒業生が、東亜同文書院で受けたビジネス教育と調査旅行いわゆる「大旅行」というフィールドワークでの経験や、上海という国際的環境の中で培われたコスモポリタン的精神によって、戦後日本の高度経済成長を最前線で支えたという仮説を、さまざまな事例から実証しました。
5.愛知大学OB・表現技術研究所代小川悟氏「活躍する東亜同文書院大学卒業生」は、『東亜同文書院大学史:創立八十周年記念誌』(滬友会、1982年)をベースに、いかに多くの卒業生が経済界や社会で多面的に活躍したのかということを、豊富な図表を用いて具体的にわかりやすく紹介しました。
 各報告に対してさまざまな質問が出され、さらに総合討論でも川井伸一学長から質問が投げかけられるなど活発な質疑応答が行われました。その後、日本寮歌祭で活動する小川悟氏の指揮によって東亜同文書院寮歌「長江の水」と旧制愛知大学寮歌「逍遥歌」が参加者によって合唱され盛会の中に閉会しました。
 
写真1枚目:総合討論・質問に答える藤田佳久
写真2枚目:藤田佳久「東亜同文書院・同大学卒業生の軌跡と戦後日本の経済発展」報告から
写真3枚目:総合討論・報告者に質問をする川井伸一愛知大学学長
写真4枚目:石田卓生「日清貿易研究所、東亜同文書院の教育と卒業生の事例的研究」報告から
写真5枚目:ポール=シンクレア氏「東亜同文書院による世界初のビジネス言語教育と現代アメリカのビジネス言語教育」報告から
写真6枚目:許雪姫女史「論東亜同文書院台湾学生的人数:兼論陳新座、彭盛木、王庸緒三人不同的際遇」報告から
写真7・8枚目:東亜同文書院寮歌と愛知大学予科寮歌合唱の音頭をとる小川悟
 
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