愛知大学は戦前に海外にあった、東亜同文書院をはじめとする諸大学の関係者や学生が集まって、1946(昭和21)年に旧大学令による大学としてスタートした。従って大学の関係者には、戦前大陸で生活した人が少なくなかった。それらの人々の、大陸での生活体験を記録しておきたいと考え、何人かの方々にお願いしてインタビューを行い、学内誌に活字化してきた。それらを主にまとめたのが本書である。
大陸へのきっかけはいろいろである。田中氏は浜松の書店「開明堂」にいて、大谷光瑞との関係から広東(現、広州)の新聞社へ行くことになった。近田氏は哈爾浜(ハルピン)学院、鈴木氏は上海の東亜同文書院へ、それぞれ県費生となって入学している。木田氏は工業学校を出て南満州鉄道(株)に入社、津之地氏は朝鮮の中学校教師から同文書院に転じている。池上氏は青島で育ち、外務省の費用で中国人の中学校に通っている。その後の体験もまた多様である。(「まえがき」より)
目次
まえがき 田崎史郎
鈴木擇郎氏に聞く
一、村を出るまで
二、東亜同文書院学生時代
三、北京留学
四、東亜同文書院教授時代
五、敗戦後
田中清氏に聞く
一、広東『東方日報』記者時代
二、『支那時報』へ
三、満州国設立のころ
近田傳氏に聞く
一、日露協会学校に入る
二、ハルピン時代
三、ハルピン駅勤務
四、敗戦
五、留用生活
六、南下
七、日本人学校の創立
津之地直一氏に聞く
一、私の上海時代
二、東亜同文書院講師に
三、焼け跡で
池上貞一氏に聞く
一、青島時代
二、天津・中日学院
三、上海へ
木田彌三旺氏に聞く
一、満鉄・東亜同文書院期
二、敗戦・引揚げ
三、愛知大学設立準備
四、開学
掲載誌一覧
出版社:風媒社
単行本:A5判256ページ
ISBN: 4-8331-4013-6
発売日:1998年3月31日
価格:2,800円+税