2015/12/24
愛知県に住む外国人児童生徒に大学の授業を体験してもらいました!
11月23日に在日外国人児童生徒約30名が愛知大学に見学に訪れました。その際、彼らに大学の授業を体験してもらうため、さくら21科目である「総合演習(佐藤ゼミ)」の学生が、体験授業の内容を計画し、当日の進行も自分たちで行いました。その報告をお届けします。
NPO法人東海外国人サポートセンターの企画に、愛知大学学生課が協力し、11月23日に在日外国人児童生徒(以下「児童生徒」)の皆さんが大学の見学をしに愛知大学へ訪れました。
その中で、私たち、総合演習(佐藤ゼミ)では訪問する児童生徒の皆さんに日本の大学の授業を紹介、体験してもらうという企画を担当しました。外国と日本、両方にルーツを持つ児童生徒の皆さんに見た目やイメージだけで人を判断できない、ということを知ってもらうため「ステレオタイプ」をテーマに授業を行いました。
「らくらく日本語教室」、「ガリ勉クラブ」から約30名の児童生徒の参加がありました。出身は中国、台湾、韓国、フィリピンなど様々で、愛知県が多文化社会であることを実感しました。
ほとんどの児童生徒は日本語が堪能で、グループワークを中心とした授業はとてもにぎやかなものとなりました。
授業の補助役として、中国、インドネシア出身のゼミ生のほか、現代中国学部の学生にもボランティアでお手伝いしてもらいました。当日の準備や、授業の様子を紹介します。
9:30 ゼミ生、補助役の学生集合。授業準備。授業の流れの確認と役割分担を決めました。
11:20 いよいよ授業開始です。
まずは自己紹介。自分の出身地と話せる言語についてお話しました。30名ほどの生徒を5つのグループに分け、各グループに一人補助の学生が担当につきました。
11:30 グループワーク開始
まず一つ目のお題は「日本といえば・・・?」。児童生徒の皆さんが持っている日本に関するイメージ、食べ物や建物など、とにかく知っていることを書いてもらいました。まだ日本にきて間もない児童生徒には留学生がサポート。ほとんどの児童生徒は日本語が堪能で、グループワークは大盛り上がりでした。次から次へとイメージが出てくるようで、賑やかでした。
こちらが児童生徒の皆さんに書いてもらった答えです。予想以上にたくさんのイメージを書いてくれました。
小学校低学年の児童の回答(左)と高学年の児童の回答(右)。「着物」や「お寿司」といった定番ものから、「アニメ(ドラえもん、ワンピース、妖怪ウオッチなど)」、「ご当地ゆるきゃら(ふなっしーなど)」といった現代のサブカルチャーの回答も多数出ていました。
11:40 お次は「アメリカといえば・・・?」のお題で再びグループワーク。皆で意見を出し合っていました。
「ファーストフード」や「ディズニー」はアメリカを代表する文化ですね。1番多かったものは「オバマ大統領」でした。皆さん政治に詳しいのでしょうか・・・。11:50 児童生徒たちに書いてもらったイメージの中にはステレオタイプと呼ばれる、思い込みのイメージがある、ということを知ってもらうためにこのグループワークを行いました。自分が当たり前だと思っているものは実は当たり前ではない。たくさんの情報が飛び交う現代では自分で情報を見極める「メディア・リテラシー」が大切です。
また、大学では、自分の学びたいことを深く勉強できる場として知ってもらえるような授業を目指しました。12:00 授業後は学食にて昼食です。短い間でしたが皆さん仲良くできたようです。
≪企画学生の感想≫
・外国人の親子のための授業企画はとても有意義な時間でした。両親の仕事で日本に来て、なぜ日本語を勉強しないといけないのかと悩んでいる子もいれば、日本の文化に馴染めずいじめられる子もいたかもしれません。このイベントでは、外国人の子どもならではの質問が積極的に出ました。愛知大学に在籍する日本で生まれ育ったフィリピン国籍の学生が、その質問に対して、自分に自信を持ち、より積極的に自分を外に出していって良いとアドバイスをしていました。
また、子ども達に日本の大学はどんなところか、何が勉強できるか、大学の柔軟性や豊富性などを説明したり、見学してもらったりして、子ども達に勉強への情熱を伝えることができたと考えます。このようにして、学校をやめてしまう外国人の子どもの数を減らすことができれば嬉しく思います。
(国際コミュニケーション学部3年・留学生)。・多文化共生を進めるにはどうやって互いに理解し、円滑な環境を維持していくのか考えることは重要だと考えている。今回の授業の対象者は未成年の子どもだった。そのため、正しい認識を正確に伝えるためにどうしたらいいかが私たちの課題だった。
企画学生同士で考えた結果、子どもが楽しみながら勉強してもらうというゲームスタイルを採用した。
このような授業では、子どもたちが国籍、習慣などの違いを超えて溶け込むことができ、多文化共生に向けての一つの実践であったと言える。
(現代中国学部3年・留学生)・今回のプロジェクトを通じて、多文化共生についてより深く理解することができたように思う。子どもたちが互いの国を認識し、各国の持つ印象がどのようなものか考えてもらうことが授業の目的だった。
ゲームという参加型の授業で、子どもたちが意見を出すことができるような話題を考えた。親の仕事の関係で日本に来た子どもたちはきっとわからないことがいっぱいあるだろう。私たちは小さい力だが、子どもたちが少しでも元気に成長してもらいたいと思っている。
(現代中国学部3年・留学生)・今回この授業を企画するにあたって、内容のレベル、難易度の調整が一番難しかったです。参加者のほとんどが小学生だったにもかかわらず、大学生の視点から授業内容を設定すると子どもにとっては難しく、理解に時間のかかるものになってしまいました。企画を提案してはアイディアの練り直しという行程が一か月以上続いたので最後の調整は少々あわただしくなってしまったことが反省点です。実施間際で参加者が小学生ということを再度見つめなおし、思い切って難易度を落としてみた結果が今回の授業内容になります。授業計画はとてもシンプルなものになったので、授業が一時間ももつか不安でした。しかし、参加者は大いに盛り上がって楽しんでくれたようです。時間の都合上、用意していた企画は半分ほど行うことができませんでしたが、私たちが最も伝えたかった、自分の出身国の文化を大切にしてほしい、というメッセージは届いたのではないでしょうか。「外国人児童生徒」とはいえど、話の内容や盛り上がるポイントは、日本の小学生と何ら変わりのないことに驚きました。日本という異文化の環境で暮らしているにもかかわらず、皆、元気な小学生そのものでした。子どもたちにはその明るさを忘れず、学校生活を送ってほしいと思います。
(国際コミュニケーション学部3年生)
カテゴリー:さくら21